A320のCFM56エンジンに関する考察(エアアジアグループが特に推力の低いエンジンを使っている)

エアバスA320は、CFMインターナショナルのCFM56またはインターナショナル・エアロ・エンジンズ(IAE)のV2500の2種類からエンジンを選択することができます。

CFM56は普通の形のエンジンですが、V2500はエンジンの一番うしろまでカウルで覆われている特徴的な形をしています。

(左:CFM56、右:V2500)

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日本の航空会社ではジェットスター・ジャパンのみV2500で、他(ANAスターフライヤー、ピーチ、バニラエアなど)はCFM56を採用しています。

CFM56はB737にも採用されているので日本ではなじみのあるエンジンです。

 

さて、エアバスA320-200の型式はA320-2xyの形式で表されます。

xはエンジンメーカーで、1がCFMインターナショナル(つまりCFM56)、3がIAE(つまりV2500)となります。

yはエンジンの型式です。CFM56の中でも様々な型式があります。

今日はこの部分のうちCFM56(つまりA320-21y)について気になっていることを書きます。

 

日本の航空会社の多くはA320-214を採用しています。ANAのみA320-211ですが、ANAも国際線でA320を使用してい時代はA320-214を使っていました。3桁目の数字と、エンジンの型式、さらにエンジンの出力との対応関係を見てみましょう。

(出典:Wikipedia

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つまり、A320-211は111kN、-214は120kNの水力のエンジンを搭載しているわけです。ANAA320は国内線にしか使われていないので、推力が低いエンジンであると考えられます。一方ピーチやバニラエアは国際線も運航しますから推力の高いエンジンを採用していると考えられます。スターフライヤーは当初国内線だけだったにもかかわらず214ですが、リース機であることや将来的に国際線を視野に入れていたことが理由と考えられます。

ちなみに、さらに推力の高い5B1〜5B3はA321に使われるエンジンです。

以下の2つのページを行き来すると、対応関係がわかります。上記の表もそこからの出典になります。

エアバスA320 - Wikipedia

CFMインターナショナル CFM56 - Wikipedia

 

ここまでで名前の出てこなかった、日本でA320を使っている航空会社があります。エアアジア・ジャパンです。

エアアジアグループは、エアアジア・ジャパンも含めてA320-216を使っています。これは上の表を見るとわかると思いますが100kNという他と比べて、推力の低いエンジンです。国際線を運航しているにもかかわらず、国内線のみのANAが使う211よりも推力が低いです。以前からA320に関する記事を読んでエンジンについて調べるたびにこのことがなぜなのか非常に気になっていましたが、それについて言及している記事がないので今回書いてみた次第です。考えられる理由は燃費かなと思いますが、現状どこにも答えを見つけることはできていません。

ちなみに、調べた限り216を採用しているのはエアアジアグループ以外に見つけることはできませんでした。エアアジアグループはエアバスに対して大量発注を行っているので、その数の利を生かしてエアアジアのために設定してもらった型式の可能性すらあります。

エアアジア・ジャパンであるところのバニラエアも、JA01VA〜JA03VAはエアアジアグループ時代に発注された機材であるため型式は−216でした。しかし、途中でエンジン交換(あるいはエンジン改修)を行って型式を-214に改めて登録を行っています。

2016年1月の登録機動向 – JA Search BLOG

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特に答えがある話ではありませんが、以前から気になっているが誰も言及している人が見つからなかったことを書いてみました。